こんにちは、CSSファクトリーです。

今回は、CSSファクトリーの母体である自動車鈑金修理工場「ボディショップハタケヤマ」にて対応した修理事例をご紹介します。

日常的に使用するクルマのドアが開けられなくなってしまったら、利便性が大きく損なわれることに加えて、乗降時の安全性にも関わる大きな問題になるのではないかと思います。今回は、室内側からドアが開かなくなってしまった車両を対象に、原因究明と修理のプロセスを報告します。

対象車両と対応

  • 車種:ダイハツ ムーブ
  • 年式:平成27年式
  • 型式:LA150S
  • 症状:右フロントドアが室内側から開かない
  • 対応:ドアワイヤー交換

症状の確認

お客様からのご相談内容は、「運転席側のフロントドアが、室内側から開けられなくなった」というものでした。

実際の車両状態を確認したところ、車外のアウターハンドルからの操作では正常にドアの開閉が可能でしたが、車内のインナーハンドルを操作してもレバーに全く抵抗がなく、ドアラッチが解除できない状態であることを確認しました。この症状から、インナーハンドルの物理的な動作をドアロック機構へ伝達する経路の部品に、何らかの欠損または不具合が生じていることが推測されます。

ドア内部機構の点検と原因究明

原因箇所を特定するため、右フロントドアのドアトリム(内張り)および防水用のインナーシートを取り外し、内部機構の点検を実施しました。

ドアのインナーハンドルには、一般的に手動でドアを施錠・解錠するための「ロック操作用ワイヤー」と、ドアを開けるための「開閉操作用ワイヤー」の2本が接続されています。今回はドアの開閉自体に関するトラブルであるため、後者の開閉操作用ワイヤーを中心に確認を行いました。

不具合の直接的な原因はすぐに特定されました。インナーハンドルとドアロック機構を接続しているドアワイヤーの先端部が破断していたのです。

掲載している画像は、インナーハンドル側のワイヤー接続部周辺を撮影したものです。緑色の樹脂パーツの先から伸びている金属ワイヤーの先端が、複数本にほつれるようにして破断していることが確認できます。通常は、円柱状の金属製留め具が圧着されています。この留め具がインナーハンドルの可動部のツメに掛かることで、乗員がハンドルを引いた際の張力が後方のロック機構へと伝達される仕組みです。しかし今回のケースではこの留め具が外れてしまい、引く力が物理的に伝達されない状態(手応えがスカスカになる状態)になっていました。

自動車のドアワイヤーは長期間・多回数の使用を想定して高い耐久性を持たせて設計されています。経年劣化によるワイヤーの伸びや、樹脂クリップの破損などは時折見受けられますが、今回のように金属ワイヤーそのものが完全に破断してしまうケースは、我々もあまり経験したことのない非常に珍しい現象でした。

関連部品の動作確認とワイヤー交換

修理にあたり、単に破断した部品を交換するだけでなく、「なぜワイヤーが破断に至ったのか」という根本的な原因(あるいは二次的要因)の有無を確認することが、再発防止の観点から不可欠です。

例えば、ドアロックを保持するラッチ機構自体の潤滑不良や機械的な不具合によって動作が著しく重くなっている場合、インナーハンドルを引くたびにワイヤーに設計値を超える過度な張力がかかり、開閉回数の増加によって疲労が蓄積していくと断裂を引き起こす可能性があります。また、ワイヤーのドア内部での通し方や固定位置にズレが生じ、金属パネルの角などと干渉して擦り切れてしまうケースも考えられます。

そのため、新品のワイヤーを組み付ける前に、ドアロック機構側の単体動作確認と、ワイヤー経路全体の点検を実施しました。点検の結果、ロック機構の可動部には十分な潤滑が保たれており、作動時の異常な抵抗や引っかかりは認められませんでした。また、ワイヤー経路における他部品との干渉も見られません。これらの確認事項から、ワイヤーに特段の負荷がかかっている状態ではないと判断し、今回のトラブルは他の連動部品からの悪影響を受けたものではなく、稀に発生するワイヤー単体の経年劣化あるいは素材不良による破断である可能性が高いと結論付けました。

修理完了と所感

事象の切り分けが完了したため、今回は破断したドアワイヤー部品単体の交換作業を実施しました。

所定の経路に沿って新しいワイヤーを配索・接続し、ドアトリムを復元する前に複数回の開閉テストを行いました。室内側のインナーハンドルからスムーズかつ確実にドアラッチが解除され、正常にドアが開くことを確認した上で、作業完了としてお客様へ車両をお引き渡しいたしました。

今回の修理事例では、「原因がワイヤー部品のみにある」と特定できたことが重要なポイントです。動作に問題のないロックアクチュエーター本体などの高額な周辺部品を再利用できたことで、修理費用を安く抑えることができました。

ボディショップハタケヤマおよびCSSファクトリーでは、今回の事例のような珍しい不具合に対する原因究明・修理にも対応しております。お車の機能や動作に異常を感じた際は、お気軽にご相談ください。